0点チャンピオン 岩瀬仁紀 ボーイズラブ文庫
今日は気絶はしなかった。露骨な言葉を使った桜庭の反論に、鷹司は苦笑したが、肯定も否定もせず、無視してつづけた。ビビッたのは神谷も一緒だが、拓哉の背中に腕を回すと、そっと振り返って気配を窺う。小見世の遊女に、高価な香を焚き染めるような洒落たことをする者など滅多にいない。でも現実の夜は、ただ早く過ぎてほしいばかりの暗がりでしかない。「由良……由良……」。「鷹司さんに対する怒りで、酷い顔になっています」。
若者が、ふと目を覚ます。
家出は初日にして失敗に終わってしまった。その言葉に体が硬直する。春なのに極寒の空気を全身で味わった。佳文までムキになっているせいで、まるで子供の喧嘩である。「ケンカすんのは初めてじゃなかったし仲直りもしてない」。「わ、私の祖先からの言い伝えです……。命をかけて成し遂げたいことがあったならば、地の神、地王様の名を唱(とな)えよと……。西の果ての砂嵐の先に地王様はいらっしゃると……。薄紫色の宮殿にいらっしゃると……」。
高敏は少し考えて、ある提案を嘉瑞にした。「恋人がいる子を好きになることだってある。そういうときは、そいつを巡って奪い合うんだよ。お前だって一度くらいは経験があるだろう?」。
大祐の体を押し戻そうとした手は、そのまま肩をぎゅっとつかんだ。「………」。慌ててドアを開け、真っ暗な生徒会室に入り、蛍光灯のスイッチを入れる佐伯と牧野。不満そうな表情をしている海の頬に、佳文はキスを贈る。
ボーイズラブ小説作品紹介
大手飲食グループの四男・伊国志郎は、23歳にしてトップパティシエとして活躍している。同僚に馴染めない志郎だったが、クリスマスケーキコンペのために移動してきた、同年代の村岡朋樹と親しくなりたいと思う。けれど、村岡の怜悧な美貌と冷たい態度、なにより美的センスに志郎はライバル心を煽られ、ついついケンカ腰に……。しかも負けたら言う事を聞くと約束させられてしまい……!?
タイトル:決戦はバレンタイン!
著 者 名:剛しいら
レーベル:ダリア文庫e
発 行 元:フロンティアワークス
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