田中さん 大久保哲哉 ボーイズラブ文庫
自信満々に言い切られて、聖は、そうかもね、と思う。状況が今一つ掴めないながらも、頭の中でガンガンと警鐘が鳴り響いているような気がした。ベッドの上に座ったままの奏を見て、おどけたように驚いたふりをする。「そんなに唇、ふくらませちゃってさ。どうしてほしい?もっとキスしてやろうか?」。
当然のことながら目的地も言ってくれなかった。
ファイは高埜を無視したまま、リオンに冷笑してみせた。「ぼくは二人もいないし、養ってもらう必要もないよ!そりゃ、お金はないけど……」。だが、そこに電車の警笛が聞こえてきた。これを逃すなんて、恥どころの話じゃない。カイゼルが微笑んだような気配を諒は感じた。夢中になって貪った――そのなめらかな肌を、うすくついた筋肉を、しなやかに撓《たわ》む肢体を。
息子の恋人に邪(よこしま)な想いを抱いている、とケニーは自責の念に駆られた様子で隠しきれない心情を瞳から覗かせていた。僕は暫くの間、田中が何を言っているのかまったく理解できず、一言一言田中が言った言葉を頭の中で繰り返すと、ようやくのみ込んだ。手首を返して刀の鋒を地にむけたまま、ドールは男の右腹から左胸へかけて、一気に斬りあげたのだ。「……何に?」。すべて本当に起こりそうに思われて、桜庭が言い返せずにいるのを幸いに、鷹司がさらに言葉を継いだ。「本当のことだ。体が小さいっていうのもあるんだろうが、毛も薄くて疎(まば)らだし、アソコも子供みたいにツルンとしてるよな」。トオルの上から起き上がった工藤が、優しい口調でそう言いながら、ベッドのすぐ横の布団の上に寝ている優一に向かってそっと手を伸ばす。
胡桃は目を閉じて、青嵐に体をくっつけた。「遊びだと?そんな、馬鹿な…。沙維、君がそんなふうに思うはずはない。私たちは愛し合ってたんじゃないのか?」。
ボーイズラブ小説作品紹介
いにしえの時代、天界は光に満ちた楽園であった。天使ユダは、一際優れた力と誇り高い精神を持ち、同じ志の仲間達と大神ゼウスに仕えていた。だが最近、ゼウスの命により天界には不穏な空気が流れ、ユダもその命に疑問を持ち始めていた。更にゼウスは地上の動物を支配する「六聖獣」。候補にユダたちを選び……。天使たちの壮大な編年史が、今始まる―――
タイトル:セイント・ビースト起源〜ORIGIN〜
著 者 名:有栖川ケイ
レーベル:ビター・ヴァレンタイン
発 行 元:フロンティアワークス
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